ドラムを演奏するにあたり必須なアイテム。
それはスティック。
そしてスティック選びは、多くのドラマー、特に初心者を悩ませるものの一つでもある。
ということで今回はドラマーの必須アイテム、「スティック」に関しての記事です。
とはいえ、「初心者にオススメのスティック〇選」という記事はたくさんあります。
なのでちょっと視点を変えて、僕がドラムを初めて約20年の間に使ってきたスティックをレビューしていきます。
かく言うワタクシも、「コレだ!」と思うスティック出会っては「なんか違うかも…」を繰り返してきた「スティック難民」だったりします。メンドクサイ奴とも言える。
今まで使ってきたスティックは何種類だろう。パッと思い出せない。それぐらい使ってきましたので、みなさんのスティック選びの参考になるはずです。
Contents
- よく言われている「スティックの選び方」以外にも正解はある
- 音色で選ぶことも選択肢の一つ
- 参考:スティックの基準サイズを知っておこう
- スティックは一つに絞る必要はない
- 今まで使ってきたスティックをレビュー
- TAMA H-YKB
- Pearl 103A
- Pearl 103H
- Zildjian LAZLASDC (Dennis Chambersモデル)
- Promark TX420N
- Promark TX721W
- VIC FIRTH VIC-AH7A
- Pearl 121HC
- Zildjian LAZLZASR (Ronald Bruner Jr.モデル)
- VIC FIRTH VIC-8D
- Promark FBH535AW
- 基礎練習用:PLAY WOOD TR-AM
- スティックレビュー後記
- スティック12種類レビューまとめ
よく言われている「スティックの選び方」以外にも正解はある
レビューしていく前に、スティック選びのポイントを。
よく言われるのが
- 自分の手のサイズに合う太さか
- 材質による音の違い
- チップの形による音の違い
です。
が、しかし。
1の「自分の手のサイズに合う太さか」ばかりを気にしていると、本当に使いやすいスティックに巡り会うチャンスを逃します。
なぜなら僕がそうだったから。
なので「自分に合うスティックの太さは○○mmだ!」という思い込みを一度外しましょう。
音色で選ぶことも選択肢の一つ
上記のスティック選びのポイントは間違っていませんが、僕が付け加えるなら
「どんな音色が出るか」
です。(チップの形状に関係なく)
どんな音色が出るかで選ぶとなると、中級者〜上級者向けの考えにはなりますが、ここが結構大事です。
僕は自分が出しているドラム全体の音に違和感を持ち続けていましたが、スティックを変えることでかなり解決になりました。
まあ、この選び方の難点は、「買って叩いてみないとわからない」なんですが。
ただ、それくらいの投資はしないとドラマーとしての音楽力は上がらないと思います。
参考:スティックの基準サイズを知っておこう
一応スティックにも基準となるサイズがあります。
VIC FIRTH(ヴィックファース)のVIC-5Aというモデルがそれに当たります。

長さ:407mm
太さ:14.4mm
なんとも半端な数値に思われますが、そこはアメリカの計測単位がインチだからでしょう。知らんけど。(適当)
スティックは一つに絞る必要はない
自分が使うスティックはこれだ!と、一種類に固定する必要はありません。
曲に応じて使い分けるのも一つの手段です。
Aというスティックが好きだけど、Bというスティックも捨てがたい…
こんなふうに迷ってしまうのならば、いっそのこと両方使っちゃいましょう。
今まで使ってきたスティックをレビュー
では記憶をほじくり返して、今まで僕が使ってきたスティックをレッツレビュー。
TAMA H-YKB
X JAPANのドラム、YOSHIKIモデルです。

長さ:398mm
太さ:14.25mm
材質:ヒッコリー
深夜にTVでやっていたX JAPANのラストライブを風呂上りの素っ裸のまま見たことがキッカケでドラムを始めたワタクシ。
見事にカタチから入りました。
とりあえず「黒」ってところがカッコイイ。
長さは標準よりやや短めなためか、振り回しやすい。
高速ドラムを主体とするYOSHIKIならではの長さです。
太さも14.25mmと、ニクい設定。太すぎず細すぎずなのでグリップの違和感はありませんでした。
音色はパチパチとした感じがします。
Pearl 103A

長さ:384mm
太さ:14mm
材質:オーク
今は103ACという型名ですが、その昔は103Aでした。
太さはノーマルですが、長さは基準よりもかなり短めです。
YOSHIKIモデルよりももっと振り回しやすいのが良い…と思って購入。
短いだけあって、とにかく取り回しやすく、コンパクトなスティックワークに最適。
ただし短い分、遠心力が少なくパワーが稼ぎにくいです。
ヒッコリー材の物を買おうと思ったら間違ってオーク材のものを購入していたことに気がついたので、使ったのは一度だけです。
Pearl 103H

長さ:384mm
太さ:14mm
103ACと同じく、今は103HCという型番です。
ヒッコリーはオークよりも軽量なので、103ACより103HCのほうが軽いです。
重さ以外、使用感は103ACと同じですが、音色は違います。
103HCのほうが柔らかい音が出ます。
長らくこのスティックを愛用していました。
Zildjian LAZLASDC (Dennis Chambersモデル)

長さ:406mm
太さ:14mm
材質:ヒッコリー
ジルジャンのデニス=チェンバース シグネイチャーモデル。
使った理由はデニチェンにハマったからです。
とはいえ、長さも標準、太さも103Hと同じならば使いやすいのは間違いないだろうと思ったことも理由です。
予想通り、自分の手にはちょうど良いと感じました。
ピンポイントで的確なショットを鍛えるにはもってこいなチップの小ささです。
デニチェンの高速ストロークと細やかなリズムワークからも想像がつく通り(見たことない人はYouTubeでどうぞ!)重心はやや後ろ寄りです。
手数を出すスタイルの人にはオススメです。
ただ、同じスティックを使ったからと言ってデニチェンのような音は出ない。出せるんじゃないかと思っても、出ない。
それから、ジルジャンの型番は意味不明すぎて解析不能です。諦めました。
Promark TX420N

長さ:409mm
太さ:13.5mm
材質:ヒッコリー
元ドリームシアターのマイク=ポートノイのシグネイチャーモデルです。
その昔は紫色のプリントで、独特さがカッコ良かった。
今は黒プリントに変わったため、見た目はフツー。
使用した理由はもちろん、ドリームシアターにハマったからです。
重心がかなり前に寄っているので、一発一発がしっかり鳴らせます。
しかしながらグリップ径はやや細身のため、細かいスティックワークにも対応してくれます。
ナイロンチップなので、硬い音が出ます。
完全なるロック向け。そりゃそうだ。
Promark TX721W

長さ:406mm
太さ:14.5mm
材質:ヒッコリー
超絶テクニカルドラマー、marco minnemann(マルコ=ミネマン)のシグネイチャーモデル。
使った理由はマルコミネマンの教則DVDを見てハマったからです。ハマったドラマーのシグネイチャーはとりあえず使ってみるスタンス。
まあもちろんそれだけじゃなくて
「もしかして今まで使ってきたスティックって、自分にとっては細いんじゃないか…」
そんなふうに思って調べていたところ、サイズ感やチップの形状が好みに合致していたので購入。
これが素晴らしく使いやすかった!
最初はちょっと太めに感じましたが、使っているうちにしっくりきました。
重心はかなり後ろ寄りなので、やや太くてもスティックワークはしやすいですし、それでいてパワーも落ちない。
非常にコントロールのしやすいスティックで、長きにわたって愛用することとなりました。
しかし、このスティックが自分のドラム音色の悩みに繋がるとは、この時は思ってもいませんでした。
なぜなら非常に柔らかい音色になるスティックだからです。
その体験談もコチラ↓に書いてあります。
VIC FIRTH VIC-AH7A

長さ:394mm
太さ:13.7mm
材質:メイプル
小音量での演奏をする機会が増えたため、あまりパワーの出ない物を、ということで購入。
軽量の物を選びたかったので材はメイプルをチョイスしました。
何と言うか、グリップした印象は非常に絶妙なフィット感。
振りやすさが抜群に良いと感じます。
短め・細め・軽量ということで、小音量の演奏がしやすい印象です。
メイプル材のため、シンバルの音、特にライドの音はクリアーに出てくれます。
優しいタッチの演奏でしか使用していないので、いつも通り叩くとどんな音が出るのかは不明のまま。
今でも使ってます。
Pearl 121HC

長さ:393mm
太さ:13mm
材質:ヒッコリー
こちらも小音量用で使用。
VIC-AH7Aでは音が硬すぎる。
しかしヒッコリーのVIC-7Aでは音量が思ったよりも出るので、それよりも細く、短めのスティックを…と考えた結果、購入しました。
細く短いため、音量は出しにくいですが、そこは狙い通り。
通常の力加減で叩けば、パシッとしたキレのあるシャープめな音が出せます。
軽やかに叩けるので、小音量の演奏がしやすいスティックです。
Zildjian LAZLZASR (Ronald Bruner Jr.モデル)

長さ:406mm
太さ:14mm
材質:ヒッコリー
僕が好きなドラマー、岩瀬立飛さんがYouTubeにアップしていた動画内で使用していたので購入。しかし今では使っているところを見なくなりました。
やっぱり型名が分かりにくいし型名で覚えられない。
チップがやや小さめなこと以外は、いたってノーマルなサイズです。
ブラックライトに照らすと光る特殊な塗装が目を引きます。
しかしそのせいか、406mm×14mmのスティックにしては重い。
ロナルド=ブルーナー Jr.があれだけバッキバキの音を鳴らしているので、硬めの音が出るかと思いきや、そうでもありません。むしろ柔らかめのサウンドです。
おそらくゴスペルドラマーのあのショットスピードでないと本領を発揮しないのでしょう。
一度もブラックライト下で使うことなく、家での基礎練習用になりました。
光ったところを見てみたかった。
VIC FIRTH VIC-8D

長さ:407mm
太さ:13.7mm
材質:ヒッコリー
基準サイズよりも1mmだけ長く、0.7mm細いという変則的ともいえるサイズのスティックです。
「自分には太いスティックではなくて細めのスティックの方が合う」と結論づけた時にチョイスしたモデルです。
重心は気持ち後ろめ。
そしてコイツがとにかく使いやすい。
どんなプレイをしても叩きやすいと感じる使い心地でした。
VIC-AH7Aもそうですが、VIC FIRTHのスティックは、手との一体感が素晴らしい。
僕との相性が良いだけなのかもしれませんが。
ただ、このVC-8Dがメインにならなかったのは、やはり音色です。
どこか柔らかさが残る感じがしっくりきませんでした。
とはいえ、スティックに悩んでいる人には一度、試してもらいたいモデルです。
オススメ。
Promark FBH535AW

長さ:406mm
太さ:13.5mm
材質:ヒッコリー
最初に試した時、自分の求める「シャープで粒のハッキリした音」がバッチリ出てくれました。
グリップ感や振り回した感じも文句なしに使いやすい。
今まで重心が後ろ寄りのものばかりを選んではイマイチ納得できない結果ばかりでした。
が、そもそも後ろ重心のスティック自体が自分に合わないのでは…と思って、前重心のものを選んだワケですが、これが大正解でした。
しかも、僕の好きなドラマーの一人であるAnika Nillesも、のちに使い始めました。
細めのスティックは意外と侮れないですよ。
基礎練習用:PLAY WOOD TR-AM

長さ:415mm
太さ:12mm
材質:アルミ
重量:一本124g
アルミでできた、パッド練習用のスティックです。
これでドラムセットを叩いてはいけませんし、間違って護身用に購入しないよう注意が必要です。
カタログ上では太さ12mmですが、黒いグリップ部分は15mmくらいありそうな感触です。
とにかく重いので、いきなり全力でストロークしたり力に任せて高速連打すると手首がやられる危険性大です。
これは激しく叩くためのものではなく、その重量を生かしてリバウンドの感覚をつかむ、無駄のない正確なストロークを養うために使用します。
動作に無駄が多いと思い通りに動いてくれません。
このスティックで練習した後に普通のスティックを持つと、びっくりするくらい軽く感じます。
重り入りの道着を脱いだ悟空の気持ちが分かります。

スティックレビュー後記
自分に合ったスティックを探すのは、実は大変だったりします。
紹介したのは12種類ですが、多分もっと買ってます。覚えていないだけで。
いや、こだわりが少なければこんなに悩んだり12種類も使ったりしないでしょう。
そもそも大抵のスティックは5分も使っていれば慣れますし。
なのにここまで追求するのは、少しでも自分が納得して叩きたいからなんでしょうね。
趣味の域を超えて人生の一部となると、スティックに限らず何でここまで深く追求するのかは「好きだから」や「楽しいから」の一言では片付けられない気もしています。
沼にハマったってヤツですね。
スティック12種類レビューまとめ
ここに記したレビューは、100%僕個人の感想です。
実際に自分に合うかどうかは試してみないとわかりませんが、参考にはなるはずです。
お住まいの地域に大きな楽器店がないと、試して選べるスティックが少なく、悩ましいところだとは思いますが…
自分が「コレだ!」というスティックに出会えると、次のスタジオが楽しみになったりもします。
ぜひ最良の一本を見つけて、楽しくドラムを叩いてほしいなと思います!
この記事が読んでくださったみなさんの役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、どうもありがとうございました!