僕は自宅での練習には電子ドラムを使用しています。
そしてドラム講師という職業柄、いろんな電子ドラムを試打させてもらえる機会もあります。
これを書いている2021年10月時点で最新のVAD706も試しました。
というかローランドの電子ドラムはここ15年、必ず試してきています。
Contents
電子ドラムが超えられない壁は叩いたところから音が出ないこと
年々その表現力は発展・向上しており、新機種が発売されるたび生ドラムに近づいてきていることを実感。
VAD706に搭載のTD-50Xなんかは、シンバルの鳴り方、特にハイハットの表現力がアップしていて驚きでした。
でもその後に生ドラムを叩くと、それが例えエントリークラスの物であっても「やっぱりこっちなんだなぁ」と思うのです。
なぜなら、叩いたところから音が出て、それを体でダイレクトに感じられるからです。
音は耳だけで感じるものではないのです。
電子ドラムが100%悪なのではない
まず言っておきますと、僕は電子ドラムを完全に否定するわけではありません。
電子ドラムと生ドラム、それぞれに良いところがありますから、上手に使い分ければそれで良いと思っています。
普段は電子ドラムを使っているからこそ、できる限り生ドラムに触れるべきだと強く思っているのです。
生ドラムで練習するから自分の音が見つかる
では、なぜそこまで生ドラムが良いのか。
それは演奏者の音色がしっかり表現されるところです。
「なんかちょっとシンバルがうるさいな」とか「もっとハジけるような音を出したい」とか、自分の音に対していろいろな発見があり、成長できるポイントや改善点・課題を理解することができます。
そして練習し再び気になるところを見つけて…を繰り返すことで徐々に自分の音色が見えてきます。
電子ドラムは”良い音だからこそ”のデメリットもある
対して、電子ドラムは誰が叩いても同じ音で鳴ってくれますし、フェーダーなどで音量のバランスも取れるため、常に一定の決まった音が出てくれます。
それはそれで良いことではありますが、電子ドラムだけで練習していては「自分の音色」を見つけ、確立させることはできません。
もう一つ。
電子ドラムは、叩いたところから音が出ません。
少なくとも僕は叩いたところから音が出ないことに違和感を覚えます。
本来は体全体で感じるはずの音が、耳元にだけ届く、というのはなんとも不自然ではないでしょうか。
ドラマー以外でも違いを感じるもの
以前、一度だけ電子ドラムを使ってバンドでスタジオライブをやったことがあります。
その時メンバーに言われたのが
「音が軽いし後ろから聞こえてこないから、いつもの安心感がない。特にバスドラの圧力がこないのがスゲー違和感」
でした。
他のパートの人ですら音の振動が体に伝わらないことに違和感を覚えるくらいですら、ドラムの音が鳴っているから大丈夫、とはいかないようです。
電子ドラムは上手に使う
ここまで電子ドラムの物足りない部分を語ってきましたが、それでも家でドラムを叩くことができるのは最大の強みでもあります。
電子ドラムがあるから大丈夫、などと思わずに、定期的に生ドラムを叩いて上手に使い分けていくのがやはりベストです。