僕はここ最近、ドラムの演奏動画をYouTubeにアップしております。
撮影時は音源をヘッドホンで聴きながら演奏します。
まあ当然といえば当然の方法ですね。
動画撮影においては、意外とヘッドホンが重要で、聴こえ方や装着感で演奏の仕上がりも変わってきます。「それは機材のせいではなく技量の問題だ」と突っ込まれても、僕は機材の問題だと主張し続けます。
みなさんの演奏をサポートし、時には「機材がトラブっちゃってさぁ〜」と、身代わりとして悪者にもなってくれる機材の一つ、ヘッドホン。
どんなものを使えばいいのか悩みませんか?悩まないのなら、ちょっと無理やり悩んでください。
ほら…何を使うといいか分からなくなってきたでしょう〜?
ということでここでは、僕が最近購入した、VIC FIRTH(ヴィックファース)のヘッドホン、
「SIH2」を実際に購入・使用してみての感想をお伝えしていきます。
Contents
- オケに合わせての演奏で大切なのは、音の良さよりもオケの聴き取りやすさ
- Zildjian LIVE!という動画では、ミュージシャン達がこぞってVIC FIRTHのSIH2を装着している
- 演奏に特化したヘッドホンなのでは?と思ったことが購入の決め手
- SONYのMDR-CD900STでは演奏しにくかった具体的な理由
- 高音域の強めな音質が、ドラムの音と重なると聴き取りにくかった
- 密閉性が高くないため、ドラムの生音がよく聴こえてしまう
- MDR-CD900STは、細かい音を聴き取るためのヘッドホン
- VIC FIRTHのSIH2は、演奏に適した設計のヘッドホンだった
- 中音域〜中低域がハッキリと聴こえる音質
- 外の音がほとんど入ってこなくなるほどの遮音性
- 密閉性が高いことが遮音性にも繋がっている
- 耐久性には不安を感じる
- アーム部分の金属が細い
- ヘッドバンドがプラスチックのため、割れるかもしれない怖さを感じる
- まとめ
オケに合わせての演奏で大切なのは、音の良さよりもオケの聴き取りやすさ
僕は今まで名ヘッドホンであるソニーのMDR-CD900STを使用して動画を撮影していました。
しかしスタジオに入るたびに「なんだか演奏しづらい」と、毎回ぼんやりとながら感じていました。
「これはもしかするとヘッドホンの特性が僕の目的に合っていないのでは。」
そう思い、もっとオケを聴きながらの演奏がしやすいヘッドホンを探すことにしました。
Zildjian LIVE!という動画では、ミュージシャン達がこぞってVIC FIRTHのSIH2を装着している
何か良いものはないかと探している時、YOU TUBEでAvedis Zildjian Companyというチャンネルが配信しているライブ動画を目にしました。
例えば以下の動画。
演者(この動画ではドラマーは着けていませんが)はもちろんのこと、なんと観客までVIC FIRTHのヘッドホンを着けています。理由がわからないので異様。
その他のZildjian LIVE!動画でも、SIH2を着けて演奏しているミュージシャンを頻繁に見かけます。
演奏に特化したヘッドホンなのでは?と思ったことが購入の決め手
ジルジャン側が備品としてあらかじめ用意しておいた物なのでしょうが、これだけ毎回使用されているという事実。
おそらく音質どうこうではなく、モニターしやすいという理由で使っているのではないかと推測し、購入してみました。
それではここから実際に使用してみてのレビューをしていきますので、よろしくお付き合いください。
SONYのMDR-CD900STでは演奏しにくかった具体的な理由
その前に、 名機と言われるSONYのMDR-CD900STなのに、なぜ演奏しづらかったのかを、お伝えしていきます。
理由としては以下の2点です。
- 遮音性が低いためドラムの生音もよく聞こえてしまいオケが聴き取りにくい
- 高音域がやや強いため、オケが聴き取りずらく耳が痛い
とにかくオケが聴き取りにくくて、演奏に集中できなかったのです。
ワタシの技量の問題ではないのだよ!
高音域の強めな音質が、ドラムの音と重なると聴き取りにくかった
MDR-CD900STは、細かい音までハッキリと聴き取ることができるので、音質としてはむしろヴィックファースのSIH2よりも上です。
高音域がやや強めに出る特性なのですが、これが大きな音量で音源を聴きながら演奏する場合には不向きだと感じました。
なぜなら、その高音域がかなり鋭く感じるため、耳が痛くなってしまうからです。
また、低音や中音域もドラムの外音が被さってくるとあまり聴こえなくなってしまいます。
このようにオケが聴こえなくなることで、オケと自分のドラムが合わなくなってNGテイクを量産、となってしまったのです。
密閉性が高くないため、ドラムの生音がよく聴こえてしまう
MDR-CD900STは、SIH2と比べるとイヤーパッドが薄めで、フィット感も強くないので、外の音がそれなりに聴こえてしまいます。
ドラムの音が聴こえすぎてしまい、オケにかなり被さる。
そうなると音源の音量を上げたくなるのですが、高音域が強いため、耳にもかなり負担がかかります。
これでは最悪、難聴になってしまいかねません。
そんな不安もあり、耳も痛いのでオケの音量を上げることが難しかったのです。
MDR-CD900STは、細かい音を聴き取るためのヘッドホン
やはりMDRはモニタリング用のヘッドホンであり、演奏用としては不向きな面もあるのかな、と思った次第です。
いくら名機材であっても目的に合わないものを使用するのはストレスであり、良い演奏につながらないのかな、と思いました。
VIC FIRTHのSIH2は、演奏に適した設計のヘッドホンだった

対して、SIH2は演奏しながらのモニタリングに適したヘッドホンでした。
その理由は3つあります。
- 聴き取りやすい音質
- 外音をシャットアウトする遮音性
- 高い密閉性
これらを具体的に説明していきます。
中音域〜中低域がハッキリと聴こえる音質
どちらかといえば音質は良いとは言えません。
が、高音があまり出ない事で中域~低域が逆に聴き取りやすくなっています。
音量を上げすぎなくてもオケがよく聴こえるので、演奏もしやすくなりました。
外の音がほとんど入ってこなくなるほどの遮音性
ハウジングが分厚いためなのか、遮音性が非常に高いです。(数値としては-25dbです。)
そのためドラムの生音でオケがかき消されなくなり、オケがよく聴き取れるため、演奏がしやすくなりました。
密閉性が高いことが遮音性にも繋がっている
密閉性が高いため遮音性が高い、とも言えます。
装着感は「ギュゥゥっ」としていて、顔が締め付けられるくらいのフィット感です。
メガネが歪む。
視界も歪む。
フィットというよりはもはや圧迫に近い気もするくらい。
この密閉感が、音源の聴き取りやすさに一役買っていますし、優れた遮音性にも繋がっているのでしょう。
また多少頭を動かしてもヘッドホンがズレにくいので、安心して演奏ができます。
ただし「パッとつけてサッと外す」のようなスムーズな着脱はできません。
耐久性には不安を感じる
実際に使用してみて感じた難点です。
どのヘッドホンでも最も破損しやすい箇所がやはり心配なところです。
アーム部分の金属が細い
まず、購入してから2回目のスタジオで、アームが外れました。

SIH2のアームは写真のように溝にはまっているだけなので、外れることがあるんですね。
で、一度外れてしまうとコレがなかなか溝にハマりません。
そしてそのアームも細い金属なので、強い力がかかると変形してしまいそうな気がします。
よって思い切り力を入れることが心理的にできません。
スタジオで一人、冷や汗をかきながらこの金属の棒を溝にはめ込む作業に悪戦苦闘していました。
おかげでドラムよりも金属の棒を溝にはめる技術が向上しました。まったく嬉しくありません。
なんとか変形も破損もせずに元に戻すことはできましたが…
次もまたいつ外れるかと思うと、装着時に気を使うようになりました。
ヘッドバンドがプラスチックのため、割れるかもしれない怖さを感じる
加えてヘッドバンドの末端はプラスチックでできています。

ここも強い力かかると間違いなく割れるでしょう。
ヘッドホンにおいて、最も負荷のかかる部分の素材がプラスチックだったり細い金属だったりと、
耐久性に関してはかなり不安が残る作りになっているのがデメリットかもしれません。
まとめ
耐久性の面が心配ではありますが、雑に扱わなければ大丈夫です。
- 音質
- 密閉性
- 遮音性
VIC FIRTHのSIH2は、この三点が音源を聴きながら演奏するのにこれ以上ないくらい最適です。
動画撮影のみならず、単純に音源に合わせて演奏をしたい人に激しくオススメです!
そうそう、ミニジャック→標準への変換プラグはちゃんと付属してますよ。
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