正式名称は「プリ・プロダクション」です。
レコーディングを無駄なく円滑に進めるための事前確認・準備のことです。
良い作品をつくるためには必須ですよ。
簡単に言うと。
プリプロとは、プリ・プロダクションの略です。
レコーディングを行うにあたっての事前準備・打ち合わせのことです。
レコーディング作業全体のリハーサルと言っても良いかもしれませんね。
プリプロを行うか行わないかで、レコーディングがスムーズに進むかどうかが決まってきますし、作品の完成度にも大きく関わってきます。
使い方
「どう?バンドの音源制作は進んでる?
「いや〜、まだプリプロ段階なんだよね。」
「レコーディングするよ!さあ録ろう!」
『プリプロやらないの?』
「え?」
『え?』
詳しく言うと。
もしかすると、レコーディングとはいつも演奏していることをそのまま録音していくものだと思っている人もいるかもしれませんが、どうでしょう。
結構、メンバー全員が普段通りの演奏で録音してそのままミックスして発表、としてしまう例も珍しくはないんじゃないでしょうか。
実際は一度全パートを”本番だと思って録音するところから”がスタートです。
あるところに、プリプロを行わずにいきなりレコーディング本番!ということでスタジオに集合したバンドがいました。
レコーディングを行う際、多くの場合は最初にドラムから録っていきますが、そもそもどうやったらドラムが快適に録音できるのかをみんな知りませんし、ドラムはメンバーに知らせていません。
そのため簡単なコード進行も、仮歌も何も準備していない状態です。
ですがメンバーはそれでも大丈夫なのもだと思っているのでなんの説明もなく「じゃあ、始めようか!」とスタートさせます。
しかしドラマーは異変に気づき、言いました。
『え?オケは?歌は?クリックだけじゃどこを演奏してるのか分からないよ!?』
しかしメンバーはそんなことを認めません。なぜなら大丈夫だと思っているから。
「なんで!?ちゃんと練習してきたの!?」
さあ大変です。バンド内でのコミュニケーション不全が露呈され、さっそく進行が滞りました。
しかしスタジオに入った以上、録るしかありません。
ドラマーは自分の脳内再生装置だけを頼りにドラムを叩きますが、やはり尺を間違えます。キメの部分も間違えます。ブレイクの部分も間違えました。Aメロが一小節多くなってしまいました。
何度やっても必ずどこかで間違えて、その度に録りなおします。
間違いが起こるたびにドラマーの精神は削られていきます。メンバーも苛立ち始めました。
結局その日は3曲ドラムを録音する予定が、一つも録れないまま時間切れ。
無情にもスタジオ代だけが飛んでいきました。
どうでしょう。想像したくもない悲惨な状況ですね。
僕の経験談をもとに膨らませた、ややノンフィクションな事例です。
こうなりたくなかったらプリプロはちゃんと行いましょう。

話を戻しまして。
一旦本番を想定した仮録音を行い、その録音したものを聴いてみると、普段の合わせで曖昧になっている部分や、気にはなっているけど何となくやり過ごしている部分、客観的に聴いてみらたおかしなところ・違和感のあるところが浮き彫りになってきます。
そこをメンバーみんなでアイデアを出して詰めていきます。
「この演奏内容がベストだ!」と思っていても、普段は自分がどんな演奏をしているかなんてそこまで深くメンバーに共有しないでしょうから、録音することで全員が他のパートに意識を向けられるようになり、様々なことに気付けます。
いつも通りの演奏で録音して、聞き返して、
「このフレーズのほうが良いんじゃないか?」
「ここのパートのリズム、みんなバラバラだ…」
「ここがイマイチ!」
「ギターってここでこう弾いていたのね。」
などの、アレンジの見直しからアイデア出し、粗探し、他パートの演奏の確認などを行って全体像をメンバー全員で共有することでレコーディングが円滑に進めていけるようになります。
もちろん、どういう環境だと演奏しやすいか、などの作業感に関わることもメンバー全員で把握しておきましょう。

もしプリプロをやらなかったら、先ほどの例の他にも、録音作業中に「ここなんかおかしいね。どうする?」のシンキングタイムが発生してしまい、時間とお金の無駄になってしまいます。
レコーディングなんて余計な思考を挟まずに決めた事をバシバシ演奏していくほうが集中できてスムーズに進んでいきますから、そのためにもプリプロを行います。
プリプロをやる事でバンド全体のレベルも上がりそうですね。
まとめると。
プリプロとは、レコーディングを無駄なくスムーズに進めていくための事前の準備や打ち合わせのことなんだと捉えてOKです。